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2019.02.25.Mon

Team WAA!×福岡県うきは市 / 今村一朗副市長 島田由香ユニリーバ取締役対談

Team WAA!による2泊3日のうきは市訪問3日目の午前中に鑑田屋敷にて行われた、うきは市今村一朗副市長とTeam WAA!を主宰する島田由香ユニリーバ取締役の対談をレポートします。

文化と歴史を考えた時、うきはで文明をつくるとしたら何をどうしたいか?

水道の水がそのまま飲めるという豊かさ。これは東京ではありえないことですと島田さん。

水路や水車のおかげで町に水を引くことができるようになって小麦粉がつくられるようになり、うきはは島原(熊本県)・神埼(佐賀県)とともに、九州の三大麺どころのひとつとなっています。フルーツ王国うきはは、麺どころでもあるのです。

白壁の町は、景観がそのまま文化財です。
外から見ると気づくことがあります。
都会にあるもの・都会にないもの・地域にあるもの・地域にないもの
お互い掛け合わせると、お互い豊かになる。
何と何を掛け合わせるのがいいかを教えてもらえたら、と今村副市長。

そこで、「東京になくて、うきは市にあるものは何か」と島田さんはTeam WAA!メンバーに問いかけられました。そこで出てきたのは、



自然
時間の流れがゆったりしている
野菜の色が違う
作る人の気持ちがちがう
なつかしい古いものが残っている。
古いものを整備して残している。
人と人のつながり
みんな顔なじみ

でした。

鑑田屋敷の先を少し行くと、小学校に校長先生や交通整理をする人たちが立っていて、小学生が挨拶を返してくれます。
うきは警察署の副署長さんがデータを調べたところ、うきは市が福岡県で犯罪件数が少ないのです。なぜかと言うとうきはの人は挨拶をするので、入りづらくなるからです。それもうきはのブランドと言えます。そんなに安心な街なら住んでもいいなと移住につながるのではないかと考えています。夜道を歩いても、東京のように怖いと感じたり、緊張したりしないですしと今村副市長。

それに対して東京は通勤ラッシュ。途中で誰かと話すこともなく、何か会話が電車の中であるとしたら喧嘩だったりするのと比べて全然違いますよね、と島田さんが話されました。

うきは市とTeam WAA!で共通しているのは?

島田さんはこう言います。

うきは市とTeam WAA!で共通しているのは、可能性を秘めているところだと考えています。Team WAA!もいろんな人がいるから、本当に可能性でいっぱいです。多様なアイデアや多様な視点がある。ここは安心安全で、何でも言えて何でも聞いてもらえて、いろんなことを出すことができます。そのことをうきは市におきかえるなら、市という組織から市の職員の方とも連携できる価値があると思っています。

最後は「自分を知る」ことに行きつく

今村副市長は次のように話されました。

今うきは市で副市長としてここで仕事をしていて、いろんな人とお付き合い出来て、嬉しい。肩書だけで自分を見るのではなく、いろんな人と接して意見交換することで、自分はこういう考え方をしているんだとか、自分を知る機会になっています。

「さすが副市長、そうなんです」と島田さんは次のように話しました。
何をどう話していても、トレーニングをしていても、結局最後に行きつくところはすべて「自分を知る」ということなんです。
リーダーシップも、人のことをリードする前に、自分で自分のことをリードできなければリーダーになれない。ダイバーシティーという前に自分のことを尊敬・尊重できなければ、ほかの人のことを尊重できない。

働き方改革も自分の生き方を決めるということだから、じゃあ自分はどうしたいのということになるのです。

うきは市に来ることで自分を知ることができるのか?

うきはに限らず、それぞれの地域に特色があります。

ほかの地域と競争する必要なく、うきははうきはらしくてそれでいい。
うきはに来ていただいた方が感じたものがあったら、それでまたうきはに来てもらえればいいのです。

日田(ひた)は天領(江戸時代における江戸幕府の直轄地)でした。
日田の人は、大分出身と言わず日田出身と言います。
唐津(からつ)の人は、佐賀県出身と言わず、唐津出身と言います。
横浜の人は神奈川県出身と言わず、横浜出身と言います。
そう言った方がわかりやすいのもあるだろうけど、なんとなくその地域に誇りをもっているからだと思います。
我々も福岡県ではなく、「うきはです」と言いたい。うきはにはこういうのがありますと発信はするけれども、周辺の土地と競争はしません。うきはは今あるものをしっかり守っていくし、都会の皆さん向けにつくり変えたりはしないので、このままの形でかかわってもらえたらいいなと思います、と今村副市長はおっしゃいました。

競争しないのは、個人個人についてもそうだと思いますと島田さん。
誰かと比較して、誰が勝っていて自分がだめというのは止めたい。自分の魅力や強みを知って、楽しく発揮していたらそれでいいんです。

高木市長のリーダーシップ

組織はリーダーによって変わります。うきは市の高木市長は市政に対する熱い想いをもたれていると思いますが、うきは市役所の皆さんはどう思われますかと、島田さんが質問されました。

こんな答えが返ってきました。

高木市長のところに話にいくと、一所懸命に話せば聞いてくれます。こちらがちゃんと想いをもって話すと、それを大切に考えてくださいます。話しているのが課長とか係長とか関係なくきちんと聞いてくれるのです。
そういう人はそんなに多くないと思います。

今村副市長も時間がある時にはなるべく市長と雑談して、いろんなことを話すようにしています。

うきは市役所のチームワーク

チームを作るのが難しいのは実感していますと今村副市長。

よく言われる「2:6:2の法則」があります。
2割はなにも言わなくてもしてくれるけど、逆に2割は全くしない。
そのことをリーダーは知っておかないといけません。
うきは市役所のこのチームは、想いが一緒だからみんなが同じ方向を向いています。
それぞれが自分のできることを頑張っています。
そしてリーダーがまたいい。「ここ言っておかないと(笑)。」と今村副市長が言うと、
「ほんとですよね(笑)。」とリーダーの橋口さんが返され、ここでもうきは市役所が素晴らしいチームであることが証明されました。
うきは市役所チームでは、みんなそれぞれ得意分野があり、7人それぞれがうまく役割分担しています。リーダーもぎゅっと締める時は締めるし、わっと遊ぶときは遊ぶし、メリハリがいいとのこと。
それぞれのカラーと強みがうまくマッチして、これが抜群のチームワークの秘訣といえそうです。

想いは良くも悪くも伝わってしまう

島田さんはこう言います。

想いは言葉で言わなかったとしても伝わります。心の中にあるものが出て行ってしまうのです。
チームになっていないと仲間を巻き込めません。
誰とやるかが大切だと感じています

会社でもそうなのですが、社員全員に「言った」と「伝わった」は違います。
届いていなければ「言った」で終わります。
巻き込み方はいろいろありますが、その中でもリーダーが何をビジョンとしているのか、どんなパーパスをもっているのかが大切です。

これからの課題

昨日の午後にあった、うきは市の発展や活性化を考える企業や団体が集まったうきは市まちづくり事業連絡会にも、うきは市の住民の方がもっと参加した方がいいですね。住民の方のニーズを知るため、住民の方と対話することもできますしと島田さん。

地域の人は町をここまで守ってきたので、何かをやっていくとしても地域の人が納得できる形でやらないといけない。行政の独断ではいけないと考えていますと今村副市長。

調音の滝公園を夏以外にも活用したり、九州三大麺処ということをもっとアピールしていけるといいという意見も出ました。

島田さんは足を小川につけながらビールを飲みながら仕事をするのが夢とのこと。その夢の実現もそう遠くなさそうです。すでにうきは市では市長の肝いりで、山間部でも仕事ができるようにITの整備をどんどん進めているので、Wi-Fiは現在でもかなりの範囲で使用可能なんだそうです。

まとめ

結論としては、想いが大事です。
一緒にやりたい人と思う人がいる。人の魅力、人のつながりをより感じられる。
それがうきは×Team WAA!のキーワードかなと思いますと島田さんが対談を総括されました。

今村副市長からは次のような熱い思いが語られました。
今階段の踊り場に立っている。どっちの方向に向かって次上がっていこうか。今転換期。そのスタートに立っている気がする。
地方創生も4年目。
地方創生は当初は人口を増やせということで始まったけど、もっと違う何かあるのではないか。
今あることも大切だけど、何年か先、こうなっていたらいいなという夢を語りながらその実現に向けて進んでいくのもよいのではないか。
これから進んでいく時にエスカレーターやエレベーターではだめです。
自分の足で歩く。その一歩一歩が大事なんですという今村副市長の力強いお言葉で、対談は締めくくられました。

文:宮崎恵美子(Team WAA!)