WAA MEDIA

2020.03.15.Sun

地域を元気にしていくことで、日本の明るい未来をつくっていこう~うきは市・Team WAA!イベントレポート

Team WAA!は、福岡県うきは市の地域活性化事業に昨年度・今年度と2年連続で携わらせていただいております。
今回は、今年度最後のうきは合宿の最終日の2月2日に開催された『2020年!地域から変わる日本の未来大予測!』について、レポートします。

縁とゆかりはつくるもの

うきは市に足を運んでくれ、うきは市のファンになってもらえるようになってきたり、今日の会場であるうきは市の文化財の鏡田屋敷
http://www.city.ukiha.fukuoka.jp/imgkiji/pub/detail.aspx?c_id=71&id=15&pg=2
もコワーキングスペースとして、手続きを踏めば、もう少しで稼働できる段階まで到達しています、と今村副市長。副市長として忙しく過ごす中、やりがいを持って活動されてきている今村副市長は、こういった取り組みはうきは市の中だけのことにとどまらないことだと捉えられています。いわば「地方創生よりも日本創生。日本をどうにかしないといけない」と感じているのだそうです。

1月31日の森本千賀子さんと島田由香さんとのイベントに続き、この日もスピーカーとしてご参加くださった福岡県福津市副市長で、内閣府の男女共同参画会議の議員も続けられている松田美幸さんは、このイベントにeumoの新井和宏さんも来ると島田さんから伝えられた時、ちょうど新井さんの著書を読み終わっていたところで、「今、今1番会いたい人が新井さん」だとお返事されたとのこと。

なんらかのきっかけで縁ができ、そこから深まっていく関係があり、Team WAA!とうきは市が作り上げていこうとしている関係も、そういった関係の一つにあたります。
東京生まれ、東京育ち、今も東京在住の島田さんにとって、ふるさとはないとかつては思っていて、子供の頃は親の実家にいった友達の話をきいてうらやましく感じていました。でも、今ではうきはは、私のふるさとになっていますと島田さん。うきはには、東京では見えない広い空が見えて、美味しい水、そしていつでもたくさんのフルーツがあります。
改めて、縁とゆかりはつくるものだと感じています、と島田さんは話されました。

地域では、信頼関係で人がつながりやすい

ユーモアカデミーでいろんな地域に行く機会のある岩波さんは、地域にあって都会にはなかなかないものは、自然と人との繋がりだと感じるそうです。

信頼関係で人と人がつながってやっていける地域がいくつもあると感じていると岩波さん。副業という形でも、その人のできる形でいいので、地域とつながることで、その人の幅が広がり、ネットワークも拡大していく。そういったことを実際にユーモアカデミーの活動として実践されているそうです。

自分らしくいられる日本人を増やす

自分らしくあることを大切にしている島田さんは、全ての人が笑顔で豊かな人生を生きることのできる社会を目指して、日々活動しています。
グローバルで見ても、日本人は深い思考、チームワークでできる、デッドラインも守って、結果を出す力があるのに、それを表現しません。
日本人は自分らしくいられる人が少ないのが本当にもったいないと思っていて、自分らしくいれる人を1人でも増やしたいという気持ちがとてもあります。
そんな日本の中で、「地域が日本の未来にどう関係しているか」を今日はみんなで考えていきたいと、島田さんは話されました。

空き家問題を考える

新井さんはこのイベントの前日、うきは市に来る前に星野村に行き、そこからうきはに移動してきたとのこと。

若い人達に古民家を貸し出したいものの、相続の手続きがされていなかったりして、貸すことができないという話は、多くの地域がかかえている問題です。
権利を剥奪することが日本ではなかなか出来ず、誰のものかわからない土地が九州と同じくらいの面積分あるのです。イギリスの法律では強制収用もできる場合がありますが、それと比べても、日本は権利だけを保護しすぎだと感じます。
地域に眠る宝を眠らせたままにしておくのはもったいないです。
新井さんご自身、都会生まれの都会育ちながら、権利を主張させるのではなく、自分事として考えてもらうために何かやりたいと考え、それがeumoをつくることにもつながりました。

eumoのやろうとしていることは、NPOでも一般社団法人でも実現できることでしたが、新井さんとしては、それを株式会社でやって、前例を作りたかったので、株式会社としてeumoを立ち上げました。
都会と地域それぞれのいいとこ取りをして、都会のスピード感や情報を地域への置き土産にする。そして地域の自然や素晴らしい関係性を都会に取り込む。それを日本全国様々な地域でおこない、ぐるぐると循環させていく中で、日本全体の課題を解決していくことを目指しています。

空き家問題は、多くの地域で共通の問題となっています。

地域でボロボロにあれてボウボウに草が生えているうちがあっても、お願いしても変えてもらえなくても、強制執行できない法律があります。ボロボロの家を壊すにもお金がかかるので、そのままだと所有者も壊せなければ、自治体も壊せないケースが出てきます。
コミュニティの支え合いの力で、荒れた家が増えるのを防ぐことも方法の一つです、と松田さんは話されました。

コミュニティによるまちづくりや子育てを

うきはにも空き家が多く、家財道具や仏壇があるため、家を壊せないケースも多いと、今村副市長は話します。
いつかは帰るかもと思うと、いざとなった時に自分の帰るところがなくなると困るので、人に貸すことができない。仕組みができれば、お願いしますと言えるはずです。コミュニティという話がありましたが、いい関係性や信頼関係があれば、この人なら貸してもいいという話になります。

福津市の移住者の方々が、最近「まち家族」という会社を立ち上げました。町全体が家族のように暮らせるしくみづくりにチャレンジしているそうで、その取り組みがほかの市町村にも広がっていくのもそう遠くないのかもしれません。

福津市では、ほかにもユニークな取り組みが行われています。
市内のすべての中学校では、2年生の時に「トークフォークダンス」が開催されます。
1学年全員集まって、同じ数の大人(250人だったら250人)に来てもらい、に1対1で話し、時間が来たらフォークダンスのように一人ずつずれて、トータルで15人くらいと話すのだそうです。大人を250人集めるのは大変そうですが、それが土曜日でも平日でも大人も集まるそうです。また思春期で親や先生と話さない子供たちも、ここでは話します。
そういった「コミュニティによる子育て」の大切さについては、親にできない部分をコミュニティが補ってくれると、岩波さんも共感されました。

後継者問題

ふるさと (高野辰之作詞・岡野貞一作曲 )
兎追いしかの山
 小鮒釣りしかの川
 夢は今もめぐりて
 忘れがたき故郷

 如何にいます 父母
 恙なしや 友がき
 雨に風につけても
 思いいずる故郷

 こころざしをはたして
 いつの日にか帰らん
 山はあおき故郷
 水は清き故郷

今村副市長からこんなお話もありました。
こないだテレビをみていたら、ふるさとの歌詞にからめて、こんなことを言っている番組がありました。
東京や大阪に息子が出ていき、いつか帰郷したいと思っていた気持ちを
ふるさとでは、「こころざしをはたして いつの日にか帰らん」とうたっていました。
でも今の時代は、自分は帰りたくても、奥さんや子供達がついてきてくれないので、跡を継ぐために自分1人だけがふるさとに帰らないといけなくなっています。今は「こころざしをはたして」ではなく、
「こころざしをはたしに」いつの日か帰らんになってきているといるのだというのです。

そんなこともあって、地域では畑が荒れて、耕作放棄地が増えてくる。棚田も危なくなるかもしれません。
このままだといつか日本は食料不足になります。貴重な田畑を残すには、後継者が必要ですが、基幹産業である農業がうまくいっていません。
やはり問題は人です。もっと都会と交流して、その中から農業をやる人が出てきてくれるといいと思っています。

福津の農業も同じような状況です、と松田さんも話されました。
クリームスイカという福津名産の大玉のスイカがありますが、作っているのが現在3軒くらいの農家さんだけ。こちらも後継者が問題となっています。簡単に作物を変えればよいというわけではないのです。高収益の産物を作るためには、高い投資が必要になります。
気象条件などにも左右されるので、投資しても毎年一定の収穫があるとは限りません。
豊作になれば、高い値段で売れなくなってしまいます。
後継者がいないケースについては、第三者が後継者となるケースが中小企業だけでなく、農業でもこれから増えていくかもしれません。

地域の主権者である住民がもっと声をあげていい

うきは市の隣の星野村からこのイベントに参加して、福津市の素晴らしい取り組みの話など、なかなかが報道されないことが、今日この場で聞けてよかった。また後継者問題は悩んでいることが全国一緒ということもわかってよかったという感想に対して、松田さんは次のようにお話されました。
市町村の合併は、理想と違うことも結構あるのが現実です。合併前の3000人の星野村だったらいろいろと考えることができたことが、八女市となってしまうと全体の一部のようになってしまって地域の方の声が届きにくくなるということも出てきます。
主権者は地域の方なので、地域の中で、星野村の中で、自分たちで未来を考えて、外の人にその想いを伝えてほしいです。

あったらいい情報が耳に入ってきているとは限らないというお話が伺えて、とてもよかったと島田さん。私たちがそこに行くことも大切だが、行って終わりではない。聞いてみようかなと思えるような取り組み、コミュニケーションや活動を、回を重ねていかないとと感じました。今日は今村副市長からうきはのフルーツと星野村でお茶とで、フルーティランド構想があるとのお話があったり、新井さんから日本の文化を代表する文化でもあるお茶についての問題意識もうかがえました。
せっかくのご縁ですから、「お茶サミット」を介して、うきはと星野村、さらにご縁のあるところとやっていけたらいいなと思います、との島田さんの言葉で、セッションがしめくられました。

来年度も、これに続く取り組みをできたらいいなと考えています。

***

イベントリンク
https://www.facebook.com/events/170058994318227/

***

登壇者プロフィール

今村 一朗(いまむら いちろう)
福岡県うきは市 副市長。
昭和48年3月 熊本県立八代高等学校卒業
昭和48年4月 建設省 九州地方建設局採用
平成24年4月 国土交通省 九州地方整備局 総務部調査官
平成26年4月 国土交通省 九州地方整備局 総務部総括調整官
平成27年3月 国土交通省九州整備局退職
平成27年4月 うきは市 うきは市立自動車学校 校長(平成29年5月まで)
平成29年6月 うきは市副市長

松田美幸(まつだ みゆき)
福岡県福津市 副市長
東京でのマーケティングコンサルタント経験を経て、麻生グループのグループ経営戦略策定と推進を担う社内シンクタンクの創設責任者に就任。多岐にわたる事業の連結経営への転換期を支えた。自治体・病院・大学などの戦略経営と組織変革に関わり、公的な組織のマネジメントシステムやガバナンス改革の実現をリードしてきた。行政の審議会や委員会の委員、企業の社外取締役及び顧問、産官学の経営層へのアドバイザーなどを多数経験し、地域や教育の国際化の視点からも発言している。コミュニケーションやリーダーシップ、女性活躍推進、MICEに関わるテーマで、講演や研修講師、モデレーターとしての依頼も多い。夫のマイケル&愛猫のマイケル・ジュニアと暮らす。二人の娘はカナダのバンクーバー在住。

新井和宏(あらい かずひろ)
株式会社eumo 代表取締役
ソーシャルベンチャー活動支援者会議(SVC)会長
1968年生まれ。東京理科大学卒。1992年住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)入社、2000年バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)入社。公的年金などを中心に、多岐にわたる運用業務に従事。2007~2008年、大病とリーマン・ショックをきっかけに、それまで信奉してきた金融工学、数式に則った投資、金融市場のあり方に疑問を持つようになる。2008年11月、鎌倉投信株式会社を元同僚と創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い2101」の運用責任者として活躍した。鎌倉投信退職後の2018年9月、株式会社eumo(ユーモ)を設立。

岩波 直樹(いわなみ なおき)
株式会社 eumo 取締役 ユーモアカデミーディレクター
株式会社 ワークハピネス Co-Founder
一般社団法人 ユーダイモニア研究所 理事
大学卒業後、富士銀行(現みずほ)入行。2002年ワークハピネスを共同創業。組織開発、人材開発も専門分野に現在も活動中。2017年社団法人ユーダイモニア研究所を共同発起人として立ち上げ、理事に就任。ポスト資本主義等の次世代社会システム創造の研究と実践に取り組む。2018年11月~2019年6月、内閣府知財戦略本部価値共創タスクフォース委員に就任。大企業のオープンイノベーションおよびこれからの社会創造についての知見と具体的アクションを促進する報告書をまとめる。2019年株式会社eumo立ち上げに参画。同7月取締役就任。eumoAcademyのディレクターを務める。

島田 由香(しまだ ゆか)
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長。
2016年7月1日にユニリーバでスタートしたWAA(Work from Anywhere and Anytime)の発起人。
満員電車で通勤することなく、働く場所や時間を社員が自由に選べるWAAの反響の大きさから、WAAのビジョンへの共感者が参加できるコミュニティとしてTeam WAA!を主宰。
自然が大好き。Team WAA!のスピリットをメンバー一人ひとりが伝えることを「タンポポ作戦」と命名しているが、自身は野原の草花とは無縁の、東京生まれの東京育ち。 いろんな地域での働き方を模索し、地域創生に注力。地域創生で行った山林で、多くの人が子供の頃に見慣れているエノコログサのふさふさの緑の穂を、生まれて初めて見てさわって感激したというエピソードをもつ。
多忙なスケジュールをこなす中、大好きなキングダムを読むきっかけをくれた高校生の息子さんら、ご家族と過ごす時間も大切にしている。

文:宮崎恵美子

***

2020年 Team WAA!マンスリーセッション日程
3月18日 水 『2020夏 〝働く〟が変わる、日本が変わる』Vol.2 総務省箕浦龍一さん・原山幸一郎さん
4月15日 水 『2020夏 〝働く〟が変わる、日本が変わる』Vol.3 白河桃子さん
5月15日 金 ダイバーシティ&インクルージョン
6月15日 月 スポーツに学ぶリーダーシップ
7月28日 火 @南紀白浜
8月27日 木 @福井県高浜町
9月15日 火
10月15日 木
11月18日 水
12月15日 火
2月18日 火 延期分(年内に開催予定) ・・・『2020夏 〝働く〟が変わる、
日本が変わる』Vol.1 浜田敬子さん・森和成さん・岡田信一郎さん

***

Team WAA! Facebook:
https://www.facebook.com/groups/1928279344050098/
Team WAA! Facebook Page:
https://www.facebook.com/Team-WAA-FB-page-1380611288647010/
Team WAA! Twitter:
https://twitter.com/teamwaa
Team WAA! ホームページ
https://team-waa.com/
Team WAA!note
https://note.mu/teamwaa